サイエンスパークによる地方創生

人口13万人の鶴岡市と11万人の酒田市などで構成する庄内地方は、毎年1千人前後の山形県外への転出超過が続いています。しかし、25~34歳に限ると直近は10年近く転入超過であり、2017年は188人に達しています。同世代の流出が深刻な県全体とは対照的です。慶應義塾大学先端生命科学研究所などが集まる鶴岡サイエンスパークで、ホテルや子育て支援施設が相次ぎ開業し、世界の研究者が集う魅力的なエリアを生み出しています。
慶應義塾大学が2001年に同パークに設けた先端生命科学研究所からは、スパイバー以外にも腸内環境を解析するメタジェンなどベンチャーが相次ぎ立ち上がり、国立がん研究センターが連携拠点を設けるなど事業は広がっています。同パークの6社で働く人は、現在400人を超しています。7割は庄内地方以外から来た研究者達です。パーク開設から17年が経過し、周辺で研究者を対象に住宅開発も進み、古民家に住む人も出てきています。市と県は毎年計7億円を補助していますが、あくまで研究資金です。仕掛けるのは同パーク発のベンチャー企業であり、行政に代わり必要なものは自ら作ると新たなまちづくりに挑んでいます。

 

(2018年9月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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