「わが国の少子化を考える―産婦人科医の重要性―」シリーズ―Ⅶ

おわりに
 産婦人科医師の減少は留まるところを知らない。この4年間で年度別の新規の産婦人科医数は年間100名以上減少している。若い年齢ほど女性医師の割合が高く、妊娠・出産・子育ての理由から周産期医療の現場を早く離れる傾向にあることから、女性医師が勤務を継続できる体制整備を急がなければならない。しかも、現在の産婦人科医師も若い人材と同様、東京を始めとする大都会に集中しており、地方の周産期医療はまさに崩壊の危機に瀕している。この産婦人科医師の不足と偏在を是正しない限り、地域の周産期医療を守ることはできない。地域の周産期医療の崩壊は、若者の地方離れをさらに増長する。畢竟するに、少子化対策の第一歩は周産期医療の再構築にある。
 わが国の少子化は、世界に類をみないスピードで進行している。このままでは国家存続の危機である。少子化は女性の未婚化、晩婚化のみならず、複合的な要因が考えられる。この危機的状況を国民すべてが認識し、自分ゴト化して少子化問題に真摯に向き合うことが大切である。心健やかに産み、安心して子育てや教育ができる成熟した社会の実現なくして、加速する少子化の流れを断ち切ることはできないのである。

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。