大学院進学率

 文部科学省によると、大学院を設置する大学は2015年度に全国で627あります。1990年代初めから約2倍に急増しています。しかし、修士課程の入学者は、2010年度の約82千人から2015年度に約72千人減少しています。学部卒業後すぐに進学する人も同様に減っており、2015年は約62千人にとどまっています。少子化が主因ですが、進学率そのものが11.0%と低下傾向にあります。
 中でも経営学部生の進学率は極めて低くなっています。理学の42.6%、工学の36.3%に対し、商学・経済学は1.8%にすぎません。進学率を高めるには、魅力あるプログラムをそろえるとともに、修士課程を早期に終える仕組み作りが急務です。日本のビジネススクールは、2003年度に専門職大学院制度の創設以降、設置が増えました。社会人はスキルアップやキャリアアップの手段となり、企業は戦力を強化できます。大学にとっては、社会の中核人材の輩出で競争力を強化できるうえ、学生を増やし大学経営を安定させる生き残り策にもなります。世界に通用する人材の育成に向け、魅力あるメニューをいかに提供できるかが今後の課題となります。

(2016年8月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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