ジカウイルス感染

 ジカ熱感染の大半は、感染者が蚊に刺され、その蚊が他の人を刺すことで起こります。ヒトスジシマカという種類で、日本国内でも北海道を除く全土にいます。国内では、夏から秋口にかけて以外に蚊を介して感染が広まることはありません。しかし、血液以外に、男性であれば精液、女性であれば腟分泌液にもウイルスが見つかることが知られています。ジカ熱感染後、パートナーに感染させる危険があるので、男性は6カ月、女性は8週間、コンドームを用いるなどの注意が必要です。
 ジカ熱で最も注意しなければならないのは、妊婦が感染した場合です。胎盤を通じておなかの赤ちゃんに感染し、胎児が発育せず流産したり、脳が発達しない小頭症のリスクも高まります。胎児の脳神経細胞やウイルスに冒されると大脳皮質が少なくなり、見た目でも明らかに頭が小さく、発育が遅れることもあります。熱帯・亜熱帯に属する東南アジアには1年を通じて蚊がおり、ジカウイルス感染症(ジカ熱)をはじめとする、様々な感染症の危険があります。特に妊婦の方々は、流行地域への渡航を極力控えたほうが良いと思います。

(2016年12月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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