ジカ熱

 世界保健機関(WHO)によれば、62の国や地域で国内感染が報告されています。米疾病対策センター(CDC)は一連の研究から、ジカウイルスが小頭症や深刻な脳の異常を引き起こすのは、ほぼ確実だと結論づけています。小頭症のほか脳の石灰化や目の異常、関節の拘縮をもたらし、流産のリスクが高まるとされています。ジカウイルスは蚊が感染者の血を吸い、その蚊が別の人を刺すことで感染します。感染するとすぐに血中のウイルスが増え、蚊に刺されると他の人にうつす恐れがあります。しかし、この時期には症状が出ていないこともあり、感染に気づきません。約1週間の潜伏期間を経て発症した頃にはウイルスは減っており、感染させる可能性は低くなります。
 男性の場合、感染すると2カ月程度は精液の中にウイルスが残る恐れがあります。米国では性交渉によって女性に感染したとみられる例も報告されています。CDCは、ジカ熱の症状がある男性は発症から半年は避妊するよう勧告しています。また症状がなくても、流行地への旅行や感染した人との性交渉など感染の可能性がある行為から8週間は、女性も男性も避妊するよう求めています。治療薬やワクチンはまだ開発されていません。対策は蚊に刺されないことにつきます。

(2016年5月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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