スポットワーカーの増加

空き時間に様々な仕事を担うスポットワーカーが急増しています。企業の副業解禁や柔軟な働き方を求めるフリーランスが増えているためで、働き手と企業を仲介する大手事業者の会員登録数の合計は、半年で約3割増えて1千万人を超えました。新型コロナウイルス禍の収束に伴い、人手不足が深刻な飲食業などで重要な戦力となりつつあります。
スポットワーカーは、タイミーなどがスマートフォンアプリを使ったサービスを始めた2010年代後半から広がりました。働く時間や場所を選べるのが魅力です。スポットワーカーの3~4割が正社員として勤めながら副業で働く人、3割がアルバイトやフリーランス、残りを学生らが占めています。
スポットワーカーを受け入れる企業も急増しています。居酒屋・バーが1年前の約2.5倍、レストランが約5倍、ホテルが約10倍と伸びが大きくなっています。いずれの業種も人手不足が深刻で、スポットワーカーで補おうとしています。多くの企業は、スポットワーカーをアルバイトを確保できない場合の補充的労働力と位置づけています。仕事もスキルを要しない単純労働が中心です。
少子高齢化で、2040年に国内で約1,100万人の労働力が不足し、販売や物流の不足率は20~30%に上ると予想されています。製造や介護でもスポットワーカーの活躍の機会が広がると思われます。しかし、仲介業者は新規参入も多く、募集条件と異なる危険な仕事に従事させられる例もあります。スポットワーカーが安全に働ける環境整備も必要です。

(2023年6月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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