スポーツ選手の無月経

女性アスリートは無月経になることが多く、特に陸上長距離のような持久系、体操やフィギュアスケートなど審美系の競技では顕著です。体重や体形を気にするあまり、食事を制限し、運動量に対してエネルギー摂取が不足します。その結果骨密度が低下し、疲労骨折や骨粗しょう症の危険性が高まります。
近年、トップ選手の理解は進んでいますが、問題は中高生です。骨が形成される成長期にもかかわらず、目先の結果を重視する指導者らが体の変化を嫌い、月経は無い方がいいと考える風潮は、今も根強いものがあります。指導者は女性のからだに関する知識を持った上で、指導にあたることが大切です。
女性アスリートの場合、中学生の頃より産婦人科医と相談し、ピルなどによる月経のコントロールが必要になります。エストロゲンという女性ホルモンの低下による無月経は、思春期の女性にとっては大きな問題であり、将来の生活習慣病の発症にもつながります。ピルなどの連続投与によってホルモン補充下に起こる無月経状態は全く問題ありません。全く別の病態であることを理解することが必要になります。

(2020年11月18日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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