AIによる潜在意識の探索

人間の脳活動で、自分で意識できているものはほんの一部であり、残りの大部分は、本人でも自覚できない無意識の状態であり、潜在意識といわれています。これまでのAIは、顕在意識を学ばせるのが主流でしたが、脳活動の殆どを占める潜在意識をどう活用するかが、現在のAI研究の主流になりつつあります。言葉や行動から読めない人間の脳に隠れた意識を、AIに学ばせる研究がNTTデータを中心に始まっています。消費者本人ですら自覚しにくい好みを脳活動から探り、効果的な商品開発につなげるのが狙いです。
人間の五感に対する脳活動をデータ化し、個々人に応じた質の高い商品開発や提案に役立てます。映像や音声を視聴した時の脳活動を推定するAIが開発されています。脳の血流をとらえる機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)の中で、動画広告を見た約50人の脳活動のデータから作成されています。好みのCMを割り出すAIとして利用でき、製品開発にも生かせます。様々な素材を触った時の脳活動を知ったAIを開発し、顧客のニーズに合った商品の開発を目指します。
潜在意識の活用では、プライバシーの保護が課題となります。脳活動の情報には、本人も意識していない情報が潜んでいます。自分の脳情報をどこまで利用し、どこから利用されたくないかを自分で決められることが必要になります。役に立つこととセキュリティーのバランスをとった研究が望まれます。

(2020年11月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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