ドナーリンク・ジャパンの設立

一般社団法人ドナーリンク・ジャパンでは、第三者の精子による生殖補助医療で生まれた子とドナー(提供者)を仲介してつなぐ取り組みが動き出します。第三者の精子による非配偶者間人工授精であるAIDと呼ばれる生殖補助医療は、1948年から慶應義塾大学病院で始まりました。これまでに2万人以上がAIDで誕生したとみられますが、ドナーの情報は明かされない条件で実施されてきました。今も法整備がされておらず、生まれた子にドナーの情報を提供する仕組みはありません。
AIDで生まれた人やドナーに登録を提案し、希望すれば委託企業のDNAに関する検査を通じて、遺伝のつながりがある可能性のある人同士をマッチングしてつなぎます。当面の対象は、日本産科婦人科学会に登録したAIDの15医療機関にかかった人に限ります。ドナーが分からないことでアイデンティティー喪失に苦しむ負担を軽減したり、情報が明かされることでドナー本人が抱える悩みを緩和したりするカウンセリングも徹底します。
法人の立ち上げには、第三者からの精子提供で生まれた人のほか、産婦人科医や小児科医、社会福祉士、臨床心理士らを含む9人が参加しています。アドバイザーとして弁護士2人も協力しています。まずは精子提供者に関わる事業からはじめ、課題や成果を検証しながら、将来は卵子にも対象を広げ、ドナー同士や生まれた人同士で交流できる場もつくる計画です。

(2023年5月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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