今年10月から、短時間雇用者（パート）に対する厚生年金や医療保険など社会保険の適用が拡大されます。501人以上の事業所を対象に、週20時間以上勤務、年収106万円以上の労働者の加入が義務化されます。非正規雇用者にとっても、労使折半で社会保険料を負担する厚生年金制度への加入は雇用正規化への一歩です。
有配偶パート女性について、末子の年齢別に年収を見てみると、年収103万円にピークがあります。多くの妻が配偶者控除を受けるため、意図的に非課税限度内の年収にとどめるように働いていることがわかります。末子年齢が上がるほど母親は労働時間を増やすので、103万円の壁に直面する者が増えてきます。多くは第3号被保険者として社会保険料が免除される上限の130万円に達する前に、103万円で調整しています。今回の106万円からの社会保険料徴収は、再び100万円近辺の主婦の就業の壁を高める結果をもたらしかねないことが危惧されます。
（2016年9月15日 日本経済新聞）
（吉村 やすのり）
