フェムテック市場の急伸

女性特有の悩みを技術で解決するフェムテックの新機器が相次ぎ登場しています。メロディ・インターナショナルや米ブルームライフは、センサーを使い自宅で胎児を確認する機器を造り、米新興は、自宅で2分で乳がん検査ができる装置を開発しています。フェムテックの市場は、2027年に約8兆円と3倍になる見通しで、企業にとっても好機になっています。
胎児のモニター装置により、自宅で経過が検診できれば、通院回数を減らし、早期入院を避けるといった選択肢も可能になります。2週間に1回通院していたのを4分の1に減らせるケースも出てきます。遠隔医療だけでなく、妊娠中に働く女性にとっても、仕事が忙しく病院に通う時間が確保しにくいような場合にも利用可能です。
女性にとって昇進の辞退や退職につながりかねない更年期障害に特化した専用端末の開発も進んでいます。また米イソノヘルスは、自宅で扱える乳がん検診器を開発しています。センサー部分が胸を覆うような形のデバイスをしており、仰向けの状態でかぶせると、超音波スキャナーで乳房全体の画像を撮影できます。独自の画像診断のAIを組み込み、約2分と病院の検診の10分の1の時間で結果が分かります。
フェムテックは、女性にのみ恩恵があるわけではありません。後押しすることによって優秀な人材獲得につながり、企業全体の競争力を押し上げることになります。コーポレートガバナンスの面でも、女性活躍推進法改正により企業も女性の管理職比率や女性社員へのサポートなど取り組みの公表を義務付けられています。政府の骨太の方針では、女性活躍の推進のためフェムテックの導入を盛り込み、自民党内にフェムテックの振興を目指す議員連盟も立ち上がっています。

 

(2022年4月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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