プライム企業の選別

旧東証1部は上場のハードルを下げたことから、2022年3月には上場社数が2,175社に膨らみました。成長性に乏しく株価が低迷する企業も多く、東証は2022年4月に市場区分を見直し、実質最上位のプライムをグローバルな投資家を想定した市場と位置づけました。企業に株式売買のしやすさやガバナンス改善を求め、旧1部よりも上場基準を厳しくしました。
東京証券取引所の場合、プライム、スタンダード、グロースの市場区分ごとに株式の流動性やコーポレート・ガバナンス、経営成績などの項目で異なる基準を設けています。プライム市場の基準が最も厳しくなっています。上場維持基準では、流通株式比率や流通時価総額などで一定水準を上回ることを求め、満たさなければ上場廃止となります。

経過措置として基準を満たさない約300社にもプライム上場を認めましたが、中堅向けのスタンダード市場に無審査で移れる特例を設け、資本コストや株価を意識した経営も求めました。こうした取り組みが奏功し、プライム企業が減少に転じ、3月末の上場社数は1,650社と、旧1部の2012年3月末の1,619社以来、12年ぶりの低水準となっています。
プライム市場の質が高まり、1社あたりの時価総額は約6,000億円と2年前から8割増えています。東証の投資部門別売買動向によれば、海外投資家の日本株買越額は2023年度に7.7兆円と、2022年度の1.8兆円の売り越しから転じています。しかし、プライム市場は小粒な企業がなお多く、1社当たりの時価総額は、米ニューヨーク証券取引所の4分の1以下です。企業の選別が進めば、より評価される市場になります。

(2024年4月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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