ポストコロナ社会の変革

2019年10月1日現在、80歳以上は約1,125万人にのぼっています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、当面のピークを迎える2034年には約1,631万人に達し、総人口の14.1%を占めると予想されています。アクティブな高齢者は増えていますが、10年後に感染力の強い病気が蔓延したら、重症患者数は新型コロナウイルスと比べものにならない数字になるかもしれません。コロナ前には、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少による人手不足が懸念され、個々の労働生産性を向上させる組織改革に乗り出す企業が増加し、雇用の流動化も含めた高齢者の労働継続も提案されていました。
新型コロナウイルスとの戦いは、長期に及び社会は大きく変質しました。人が集まることを否定した新型コロナウイルスは、世界から消費を奪い去っています。この消費喪失は、国内の消費者数が大きく減る人口減少後の日本の姿を想起させます。コロナ前の雇用の確保のための経済対策ではなく、今後は、組織のスリム化を考えていかなければならないかもしれません。
コロナ禍でテレワークが普及したことも、ビジネスモデルの作り替えを加速させることになると思います。多くの企業は、不要な業務の洗い出しを迫られ、最適な人員規模を知ることになります。コロナ禍で経営悪化した企業の人員削減が予想されます。高齢者の労働力が必要でなくなる時代が来るかもしれません。コロナ前の状態に無理に戻そうとするよりも、発想を変えて人口減少に対応するビジネスモデルへと転換する好機ととらえた方が良いと思われます。

(2020年4月19日 産経新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。