免疫力を高めるためには

身の回りに病気を起こす病原体がいても簡単には病気にならないのは、体に防御の仕組みが備わっているからです。例えば、気道や腸の粘膜は、物理的に病原体の侵入を防ぐだけでなく、病原体を殺す物質を含む液を出します。唾液や涙、汗にもバリアーとしての役割があります。バリアーを乗り越えて体内に病原体が侵入すると、様々な種類の白血球が待ち構えています。その一つ、マクロファージは病原体を殺す物質を出したり、病原体や感染した細胞を食べたりします。これらは第一段階で働く自然免疫と呼ばれます。第二段階の高度なシステムが獲得免疫です。過去に侵入してきた病原体を覚えていて、その病原体が再び入ってくると抗体などで素早く排除します。
特定の食品などで免疫系の働きを上げる秘策はなく、働きが悪くならないように維持することが大切となります。免疫系の働きが悪くなる要因として、ストレス、栄養や睡眠の不足が知られています。ストレスがかかると、血圧や体温が上がり、筋肉が緊張し、ステロイドが分泌されます。過剰に働くと、リンパ球の働きを抑えたり、睡眠障害を起こしたりする可能性があります。ストレスや不安を感じている人のために勧めるのは、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、運動です。免疫細胞は骨髄や胸腺で作られ、血管やリンパ管を行ったり来たりします。速やかに流れるように、ウォーキングやストレッチなどでゆっくり筋肉を動かしたり、お風呂などで体を温めたりすることも大切です。食事もゆっくり食べ、一休みして散歩に行くとよいとされています。

(2020年4月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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