手術制限による難病患者へのしわ寄せ

新型コロナウイルスの感染者が急増し、医療体制が全国的に切迫した状況に陥り、大学病院など主な病院が、手術や外来診療を制限する事態に追い込まれています。やむにやまれぬ対応とはいえ、他の診療に不安の影を落としています。
特に難病など重い病気の患者にとっては深刻な状況です。臓器移植しか治療の道がない患者は、厳しい事情を抱えています。臓器提供が受けられても、提供者(ドナー)が感染していたら大きなリスクを背負ってしまいます。院内感染でうつる恐れもあります。移植後の患者は免疫を抑える薬を飲むため、感染すれば重症化しやすくなります。ドナー数は激減し、移植の機会は減っています。日本臓器移植ネットワークによれば、脳死患者からの臓器提供は1月~4月20日に23件で実施され、昨年1~4月に提供された34件に比べ減少しています。
日本移植学会の調べによれば、比較的、待機できる腎臓移植は、6割の病院が実施を見合わせていました。移植を待つ人を含め、腎臓病や肝臓病の患者は人工透析で命をつないでいる人もいます。透析患者は免疫の低下で感染しやすく、重症化する可能性が高いと言われています。他にも先天的な病気がある子どもや、血液の病気やがんの患者に、感染や診療制限の影響が心配されます。

(2020年4月22日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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