マダニ媒介のウイルス性出血熱の拡大

致死率が高いウイルス性出血熱の一つで、主に野外のマダニを通じてヒトに感染する、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)が拡大しています。感染者数は昨年、一昨年と過去最多を更新しています。SFTSは森林や草むらにひそむマダニが媒介します。かまれたヒトやネコ、イヌが感染します。野山に入れば感染の恐れがあり、農林業者らが、罹りやすい病気とされてきました。
ヒトが感染すると、嘔吐、下血や発熱が起き、致死率は25~30%に達します。高齢者の発症が多く、対症療法以外の有効な治療はありません。2011年に中国で初めて見つかり、東アジアで集中して発生しています。日本では2013年に山口県で初めて報告されました。これまで西日本が中心でしたが、2021年には愛知県や静岡県で、2022年は富山県で初めての感染者が出るなど東進が続いています。

SFTSはヒトにもネコにも感染します。致死率はヒトで2割以上、ネコでは6割に達し、イヌで3割になります。マダニがとりつきやすいネコやイヌの頭、耳、指の間などを確認し、発熱、元気・食欲がない、尿が黄色などの症状があれば、先ず動物病院に相談すべきです。

(2023年2月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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