ミトコンドリア病の新しい治療法

 核移植によるミトコンドリア病の治療法によって、子どもが誕生しました。重い遺伝性の病気であるリー脳症と呼ばれるミトコンドリア病の36歳の母親の卵子から核を取り出し、あらかじめ核を取り除いた第三者の女性の卵子に入れた後、父親の精子と体外受精させました。5つの受精卵のうち正常に育った1つを母親の子宮に戻し、子どもが誕生しました。この技術は、理論的には母親のミトコンドリアが受け継がれないため、ミトコンドリア病の予防につながります。
 ミトコンドリアは、細胞の核とは別に独自のDNAを持っています。核DNAは両親のものが遺伝するが、ミトコンドリアは母親のものだけが受け継がれます。核DNAは両親から、ミトコンドリアDNAは卵子提供者からそれぞれ受け継がれるため、遺伝的に3人の親を持つことになります。昨年2月に英国でも核移植によるミトコンドリア病の治療のための臨床研究の実施が許可されています。

(2016年9月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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