介護と仕事との両立支援

年間10万人が、親などの介護で仕事を辞めています。親が年を取れば、やがて心身が衰え、介護が必要になります。在宅での入浴やトイレなどの介助で、介護保険サービスを活用できず、働きながら介護を抱え、心身が疲弊した結果、仕事を辞めざるを得ない人が増えています。
推定590万人もいる団塊の世代が、来年には介護が必要になりやすい75歳以上になります。介護を受ける高齢者の子ども世代の中心は40~50歳代です。技能やノウハウを積み、企業で中心的な役割を果たしている人も多く、離職は経営上のダメージになります。国の試算では、介護を担う正社員などビジネスケアラーが2030年にピークに達し、9兆円超の経済損失が出る見通しです。
育児・介護休業法に基づき、企業には両立支援が義務付けられています。従業員は最長93日の介護休業を3分割したり、年5日間の介護休暇を1時間単位で取ったりできます。時短勤務や深夜業の免除、親の介護にかかった経費の補助といった、企業の支援メニューも利用できます。2022年に介護休業を取った人の割合は1.6%でした。企業が就業規則に両立支援を盛り込んでいても、従業員が気づかないことが多く、積極的に周知すべきです。

(2024年2月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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