介護保険制度の破綻

 人口の高齢化に伴って、介護問題は深刻です。その救世主として、2000年に介護保険制度が登場しました。最近では保険料負担は重くなり、一方で介護人材不足も深刻です。軽度者を含め介護が必要とされる人は今や600万人を超え、初年度の3倍近くになっています。介護施設入居者の負担増や、サービス事業者に支払う報酬の引き下げなどこれまでの制度見直しのたびに、費用を抑える対策が講じられてきました。しかし、当初36千億円だった総費用は、2014年度に10兆円を超えました。
 65歳以上が支払う保険料も全国平均で月3,000円未満だったものが、今や5,000円を超えています。2025年度には8,000円を上回るとの推計もあります。40歳以上の現役世代が負担する保険料も増え続けています。税金の投入も膨らんでいます。この介護保険制度は、当初労働力人口は確保できるという前提で導入しました。しかし今後は人口減少で働き手の確保は困難との前提で、働き方の改革を進めなければなりません。

(2017年2月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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