企業倒産件数の増加

2023年度の全国の企業倒産件数が、9年ぶりに9千件を超えています。新型コロナウイルス下の手厚い資金繰り支援で生き延びてきた企業の淘汰が増えているためで、2024年度は倒産が1万件を超えると予測されています。倒産の増加は、物価高や人手不足に苦しむ中小企業の苦境を映す一方で、政府の非常時の支援が終わりを迎え、平時への新陳代謝が活発になってきたサインでもあります。
スタートアップの資金調達額は高水準が続くほか、事業承継関連のM&Aも増加しています。円滑な事業承継や成長産業への雇用シフトによって、経済の構造転換を進めていくことが課題となります。
業績が悪化した企業が市場から退出する一方で、新興企業の事業拡大は続いています。スタートアップ情報データベースによれば、2023年のスタートアップの資金調達額は、8,500億円程度となる見通しです。経営者の高齢化で、後継者問題に直面する企業が事業承継によって、廃業を回避する例も増えています。M&A上限のレコフによれば、2023年度のM&Aは765件と、前年度から1割増えています。買収先の事業との相乗効果が得られたり、引き継いだ若い経営者が新規事業を軌道に乗せたりすることができれば、業績が低迷してきた企業でも再建が進む可能性があります。

 

(2024年4月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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