子どもの手続き代理人の選任

親権者や監護者をどちらにするか、別居親と面会交流するかどうかなど、未成年の子どもが影響を受ける調停や審判では、弁護士が子どもの意見表明を援助する子どもの手続き代理人という制度があります。家事事件手続法に定められたもので、父母の代理人とは別に、子どもの代理人となる弁護士を手続き代理人としてつけることができます。子どもが裁判所に申し立てて許可される場合と、裁判所が職権で選任する場合があります。代理人になる弁護士は、子どもが選ぶか、裁判所が選ぶことになります。
代理人はできるだけ子どもの気持ちを聞き取り、子どもの意見を文書にまとめたり、子ども自身が意見を陳述する手助けをしたりします。最高裁が過去の事例を調べたところ、制度が始まった2013年に、代理人が選任された子どもは8人です。徐々に増えて2021年には70人に達しましたが、2022年は51人に減少しています。2023年は38人です。2013年1月の制度施行後、代理人が選任された子どもの数は346人にとどまるのが現状です。
子どもの手続き代理人をつけると事案が複雑になる懸念から裁判官が選任をためらったり、父母に費用の負担が生じたりするため、利用は増えていません。今後、できる限り多くの子どもが、この制度を利用できるようにする必要があります。父母が費用負担すると、父母の考えに左右される可能性があります。弁護士会による費用の補助がありますが、国費で賄われるように予算化するべきです。

 

(2024年4月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。