自治体の施設管理の民間委託

自治体が体育館や展示場など公共施設の管理を民間に委ねる指定管理者制度が全国で広がっています。民間のノウハウを生かすことで、住民サービス向上やコスト削減につなげる狙いがあり、2022年の全国の市区町村の導入率は、3分の1まで高まっています。山形県米沢市は、民間の参加意欲を引き出す仕組みを通じて、全国一の導入率を達成しています。
総務省は、2015年に指定管理者制度の一段の活用などを求める大臣通知を出し、取り組み状況の報告を求めています。2022年は、1,741市区町村の11万4,855の対象施設のうち、3万9,914施設で指定管理を採用しました。導入率は34.8%で、2015年の29.4%から7年連続で高まっています。民間が安定した収益を確保しやすい宿泊休養施設の85%や展示場施設の68%などが高く、サービスを無料や低価格で提供する必要がある図書館の21%や公営住宅の22%は低率です。
全国的に光熱費や人件費などのコスト上昇が、指定管理を担う民間の採算を圧迫しています。民間が努力すれば利益が出る条件を提示する必要があります。市民サービスの向上度を利用者数などで毎年モニタリングし、コスト削減に偏らないよう指定管理者に要請することも大切です。民間の力を生かして住民サービスを向上させるという視点をこれまで以上に強く、明確にする必要があります。

(2024年4月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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