低血圧とは

 朝、なかなか目が覚めない、すぐ疲れて横になりたくなる、立ち仕事をしていると、めまい、立ちくらみがするなどは、典型的な低血圧の症状です。その他、頭痛や肩こり、耳鳴り、不眠、胃もたれ、動悸などが現れることがあります。高血圧には国際的な診断基準がありますが、低血圧には明確なものがありません。日本の病院では、最高血圧が100より低いことを目安として診断する場合が多くなっています。高血圧と違い、低血圧には有効な薬物治療法がありません。重要なのは生活改善です。
 患者数が最も多いのは、特にこれといった病気がないのに慢性的に血圧が低い状態の本態性低血圧です。頭痛や耳鳴り、全身倦怠感などの症状を訴える人が多いとされています。起立性低血圧は、ベッドから起き上がったり、椅子から立ち上がったりしたときなどに立ちくらみを起こします。二次性低血圧は、心臓病や糖尿病など他の病気や飲んでいる医薬品の副作用などで起こります。なお、食後に抹消血管が拡張してしまうことで起こる食後低血圧もあります。
 生活習慣を改善することが最も大切です。早寝早起きの習慣をつけ、起床後200mlの冷水を飲んだり、熱いシャワーを短時間浴びることも効果的です。低血圧の人は食欲不振から栄養不足になりがちですので、食事を3食しっかり取ることが大切です。食後に低血圧になる人は、食事のときにコーヒーや緑茶などカフェインを含むものを飲むと良いかもしれません。カフェインには血管を広げて、血圧を下げるアデノシンを抑える働きがあります。

(2016年9月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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