体形別の認知症のリスク評価

一般社団法人日本老年学的評価研究機構が、高齢者3,696人を対象に2010年から約6年間追跡調査し、認知症について検討しています。体重(㎏)を身長の2乗で割った体格指数(BMI)が、18.5未満の高齢者を痩せ形、18.5~24.9を標準体形、25~29.9を肥満、30以上を高度肥満と分類し、認知症発症率と体重との関連を調べています。
日本人の痩せている人は、認知症になるリスクが標準体形の人に比べ最大72%高いとの研究結果を千葉大などの研究グループがまとめています。標準体形の認知症の発症リスクを1とすると、女性の痩せ形は1.72、肥満は0.82、高度肥満は0.61となり、太っている人ほど発症リスクが低いとされています。男性の場合は痩せ形が1.04です。女性ほど差は大きくないものの、標準体形より発症リスクは高くなっています。肥満は0.73、高度肥満は0.91でした。
欧米では肥満の人が認知症になりやすいとの研究結果が発表されており、日本人は逆の結果になっています。日本人は認知症リスクを高める糖尿病を痩せていても発症する体質であることが背景にあると考えられています。一方、筋肉が落ちることで、認知症の発症リスクが高まる可能性もあります。日本人の場合、痩せることで、糖尿病に罹りにくくなる効果が欧米人より小さく、筋肉の減少で認知症の発症リスクが上がる影響の方が大きくなってしまう可能性があります。

(2019年8月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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