保育所の休園対策の必要性

新型コロナウイルスの第5波で保育所の休園が相次いでいます。デルタ型の感染拡大で、園児や保育士の感染例が相次ぎ、8月末時点で7月の11倍にあたる全国179カ所が休園に追い込まれています。子どもの預け先を失った親が仕事を休まざるを得ないケースも少なくありません。特例の有給休暇制度の導入といった対策を取る企業は一部にとどまっており、国や企業による働く親支援の強化が急務です。
休園増の背景には、若年層へのデルタ型の感染拡大があります。10歳未満の新規感染者は、8月25日までの1週間で過去最多の1万127人に達しています。親世代の20~40代の感染も増え、家庭内感染も目立ってきています。保育所を含む児童福祉施設のクラスターは、8月30日までの約1カ月で287件に上っています。
保育所の突然の休園は、一部の子育て世代の人々にしわ寄せがかかることになってしまいます。在宅勤務が増え、テレワークを導入する企業が増えていますが、保育所の休園時の自宅でのテレワークと子育ての両立の難しさを訴える声も目立ってきています。企業は有休を取りやすい仕組みを整え、行政も財政支援を充実させる必要があります。

 

(2021年9月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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