児童虐待―Ⅶ

虐待による神経ネットワークの変化
 ハーバード大学のタイチャーらの報告によれば、虐待を受けることによって神経ネットワークに変化が起こることが分かっています。冷たいとか、寒いとか、痛いとか、そういう身体的感覚を思い出す神経ネットワーク(神経回路の張り方)が、健康な人ではすっきりしています。虐待経験者は、交通渋滞、ラッシュアワーという感じで、まるで首都高速のような状態になります。
 もう一つは島部で、痛み、不快、恐怖に関わるネットワークですが、トラウマ体験のない人は、スッキリしていますが、虐待を受けた人は首都高速のように混雑しています。一方、前帯状回は意思決定や共感する、集中力や判断力、明日の行動を決める、犯罪抑制力にも関わる理性や判断、やってはいけないことはしないという神経回路です。健康な人はこのネットワークが密にありますが、被虐待者の脳はスッキリしています。

「周産期から見つめなおす児童虐待:アタッチメント障害の脳科学」
(吉村 やすのり)

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