児童虐待の対応

 子どもが虐待で亡くなる事件が後を絶ちません。兆候があっても児童相談所や自治体が十分に対応できなかったり、行政と保育施設、病院などの連携が不十分であることにより、防げなかったケースが増えています。行政や児童相談所は、児童虐待件数の増加に児童福祉司の増員などの対応が追いついていません。国は虐待対応にあたる児童福祉司の養成を地方任せにしていますが、全国で一定レベルの行政サービスを確保するといったナショナルミニマムの考えを導入しなければなりません。米国では虐待に対応する専門機関があり、職員もみな専門家です。児童福祉司を日本で養成するようなシステム作りが必要となります。現在、児童福祉司の数のみならず、スキルや経験不足も指摘されています。
 児童虐待を防止するためには育児支援も必要です。親に悪意はなくても、育児の仕方を知らなかったり、親自身の病気などで育児ができなかったりして、ネグレクト(育児放棄)状態になってしまうこともあります。育児方法をアドバイスしたり、行政サービスにつないだりすることも大切です。病院を核としての情報共有も大切です。親のサポートや里親らが家庭的な環境で子を育てる制度など、子どもの将来までを見据えた支援体制を整えることが必要になります。

(2016年11月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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