同一労働同一賃金指針

 同一労働同一賃金とは、性別や年齢、雇用形態の違いにかかわらず、同じ仕事には同じ賃金を払うという考え方です。日本では、非正規の賃金は正社員の6割程度に抑えられています。政府は、非正規社員の処遇改善を促す同一労働同一賃金のガイドライン(指針)案を示しています。正社員と非正規との不合理な待遇格差を例示し、基本給や賞与、手当などについて格差是正を促しています。しかし、指針には格差をつけた企業に理由を説明する責任を課す仕組みは盛り込まれておらず、実効性の確保が課題となっています。国内の労働市場に占めている非正規の割合は、約4割にのぼっています。政府は賃金水準の引き上げや手当の充実により、非正規の働く意欲を高め、生産性向上につなげたいと考えています。
 日本ではパートタイム労働者の時間あたり賃金が、フルタイム労働者の6割弱にとどまります。賞与も加味すると賃金差はさらに広がり、特に企業規模が大きくなるほど格差は深刻です。政府は同一労働同一賃金の実現をテコにして、欧州並みまで格差を縮める未来図を描いています。非正規職員の待遇が良くなれば、今まで働いていなかった女性や高齢者が仕事につきやすくなり、働き手が増えることを期待しています。

(2016年12月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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