公務員の賃金カーブ

年功型賃金では年齢が上がるのに合わせ、右肩上がりの曲線になります。賃金の伸びが大きいほど、曲線は急傾斜になります。国家公務員の場合、人事院勧告に基づいて給与が決まります。争議権などの制約を受ける国家公務員の労働基本権の代償措置として、人事院が民間企業の給与水準を調べ、官民の給与格差が生じないようにしています。
政府は2018年2月に定年延長の方針を決め人事院に意見を要求しています。定年を65歳へ引き上げるとともに、60歳以上の職員の給与を60歳前の7割にするのが妥当としています。同時に、60歳前後の賃金カーブがなだらかになるよう、民間給与の動向を踏まえて見直しを検討することも求めています。地方公務員も国家公務員に準じて見直される見込みです。しかし、カーブを緩やかにすると、教育費がかさむ子育て期間中に給与が減る職員も出てきます。一方、現役世代の給与を据え置くと、定年延長に伴う職員数の増加により、総人件費が膨らむ課題も残ります。

(2019年1月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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