再生医療の新法人設立へ

京都大学の山中伸弥教授らは、再生医療の切り札とされるiPS細胞の製造や供給を担う新法人を設立する予定です。iPS細胞を使う再生医療では、治療が難しかった目の難病や脳の病気を治す臨床研究が始まっています。脊髄損傷などの治療も計画されており、iPS細胞を着実に治療現場へ届けるしくみが必要だと判断しています。
一般財団法人として今夏にも国に設立を申請し、有識者による審議を受けることにしています。山中教授が非常勤の会長に就く予定で、オムロンなどの幹部らも加わる見通しです。骨髄バンクのような公的役割があるとみて、当面は国の予算を運営に充てる方針です。
新法人は品質のそろったiPS細胞を保管します。患者ら一人一人の体からそれぞれの再生医療に役立つiPS細胞を作るなどの技術開発にも取り組みます。臨床研究を手掛ける大学や研究機関、企業に配るほか、再生医療製品の販売を目指す企業の求めに応えた細胞の開発も視野に入れます。新法人の設立は国の意向でもあります。一つは京都大学の負担を軽くする狙いで、もう一つは再生医療の一般の医療に近づけて法人の自立を促し、国の予算負担を減らす思惑もあります。

(2019年8月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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