処理水のトリチウム量

処理水は、放射性物質のトリチウム(三重水素)を含んでいます。政府は、その濃度を国際基準以下に薄めて流すため、問題はないと説明しています。海水で100倍以上に薄めて、放射線量を1ℓあたり1,500㏃未満にする方針です。仮に毎日2ℓ飲み続けても、健康影響が出る水準を十分に下回ることを根拠に決めた国の基準で1ℓあたり6万㏃の40分の1の水準となります。
この線量水準は、世界的に見ても厳しい基準です。WHOは、飲料水に含まれるトリチウムの濃度の基準を1ℓあたり1万㏃までとしています。今回の海洋放出の水準はその7分の1です。トリチウムは、宇宙線によっても自然に生じており、濃度が薄ければ無視できます。国際原子力機関(IAEA)は、日本の処理水の海洋放出について、国際的な慣行に沿ったものと指摘しています。
政府は、処理水の海洋放出に伴うトリチウム量を年間22兆㏃までにするとしていますが、韓国の月城原発は年23兆㏃、フランスの再処理工場は年1京3,700兆㏃を放出しています。これらの国でも環境への影響は確認されていません。しかし、処理水を巡るこれまでの東電の対応に対する根強い不信感が、地元の風評被害への懸念をくすぶらせる要因となっています。

(2021年4月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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