ヤングケアラーの実態調査結果

ヤングケアラーとは、YOUNG(若い)とCARER(世話する人)を組み合わせた言葉です。大人が担うような家事や病気や障害がある家族の介護を、日常的に行っている18歳未満の子どもを指しています。幼い弟や妹の世話や日本語が話せない家族の通訳を務めている子どもも含まれます。自由な時間が取れず、学業や進路に影響を及ぼすだけでなく、健全な発育や人間関係の構築を阻むとされています。英国では、1980年代にこうした子どもの研究が始まり、支援のための法整備が進んでいます。
中学2年生の17人に1人にあたる5.7%が、世話している家族がいると回答しています。このうち、1日7時間以上ケアに従事する子どもも1割程度います。ケアの対象は、兄弟姉妹が61.8%と最も多く、父母が23.5%、祖父母が14.7%と続いています。要介護や障害、精神疾患や依存症の親をケアする子どもが多くなっています。
家族を世話していると答えた生徒のうち、1日のケア時間が7時間以上に及んでいたのは11.6%に上っています。ケアのために、自分の時間が取れないが20.1%、宿題や勉強の時間が取れないが16.0%でした。一方、自身をヤングケアラーと認識している子どもは、中学2年生で1.8%にとどまっています。
ヤングケアラーは、学校で悩みを打ち明けにくく、教員には欠席日数の多さや学習状況の変化から、支援の必要性を察知することが必要になります。早期発見には、生徒が欠席や遅刻した際に学校の教員がしっかり事情を聴き、家庭環境を把握することが重要です。福祉的支援による負担軽減だけでなく、遅れがちな学習を地域と連携して支援するといった教育機会を保障する工夫も必要です。

(2021年4月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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