創薬へのAIの応用

1つの新薬を開発するには、2000億円以上の費用と約13年の期間がかかると言われています。病気に関わる体内物質に作用する新薬候補を探すため、細胞や動物、人で安全性や有効性を調べるための実験が必要となります。こうした実験をもとに探す従来の成功確率は2万~3万分の1とされ、費用や期間は年々増えています。
富士通や武田薬品工業、京都大学など国内の約100の企業や研究機関からなる研究グループは、多数のAIを組み合わせて創薬効率を高める基盤技術を開発しています。これにより、治療効果が高く副作用の少ない新薬を探しやすくなります。創薬にかかるコストを半減し、開発期間を3割縮められるとされています。2020年にも実用化して、日本勢の競争力の向上につなげようとしています。
近年、日本の製薬企業は抗体医薬などバイオ医薬品への対応が遅れました。医薬品と医療機器を合わせた貿易赤字額は、年間約3兆円にも達しています。AIを駆使して各社の創薬効率が高まれば、日本の競争力の底上げになります。創薬コストの膨張は新薬の価格の高騰にもつながっています。創薬効率が高まれば、その薬価の低減にも役立ちます。

(2019年10月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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