医療費の膨張

 医療費の膨張が止まりません。厚生労働省の発表によれば、2015年度の概算医療費は41.5兆円と、前年度に比べ3.8%も増えています。高齢化に加えて高額な新薬の登場で、薬剤費が9.4%伸び、医療費の増加率は5年ぶりの大きさとなっています。抗がん剤などの高額薬は増え続けており、今後も医療費は膨らむと思われます。
 高額薬だけで医療費は1%も膨らんでいます。厚生労働省はこれまで後発医薬品の使用を促し、医療費の伸びを抑えてきました。後発薬品の2015年度末の時点の使用割合は、全国平均63.1%で前年度に比べて4.7ポイント上昇しています。しかし、高額医薬品にかかる医療費が、こうしたジェネリック医薬品による医薬費抑制効果を打ち消してしまっています。高額医薬品を特例的に値下げする制度をさらに進める必要があります。同時に医薬費の伸びを抑えるには薬価制度そのものの見直しも欠かせません。

(2016年9月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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