受動喫煙対策に憶う

 他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙対策をどう強化するかは、次期国会での焦点となります。塩崎恭久厚生労働大臣は、禁煙社会の実現を目指す談話を発表し、改めて法案提出への意欲を示しています。しかし、自民党との調整は依然難航することが予測されます。受動喫煙がなければ、年間15千人は亡くならずに済むことや、分煙は受動喫煙被害の防止効果が乏しいことなどを理由に妥協することはないと、禁煙の重要性を強調しています。
 一方自民党のたばこ議員連盟は、茂木政調会長を中心に客席100㎡以下を想定した一定規模以下の店では、喫煙などの表示をすれば喫煙できるという党の姿勢を堅持しています。自民党には、たばこ生産農家らへの配慮から、法案は不要とする議員も多くみられます。数年後に法案を見直す案を示していますが、最終的には原則屋内禁煙になる確約がないとして、塩崎・茂木会談は決裂しました。国民に模範を示すべき国会議員が受動喫煙防止法に賛成できない状況は納得できません。
 受動喫煙が社会生活に様々な悪影響を与えています。受動喫煙の影響で毎年世界で60万人が亡くなっています。喫煙は嗜好であり禁止することはできませんが、他者に危害を与えることは許されません。たばこを吸わない人々や、特にこれから生まれてくる子どもが他人の吸うたばこの煙に晒されないことは、いかなる状況においても健康を享受する上での大切な基本的な権利です。それは、他人の存在する空間で喫煙者がたばこを吸う権利よりも、はるかに守られなければならない上位の権利です。

(吉村 やすのり)

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