国の奨学金制度

国の奨学金制度は1943年に始まり、現在は日本学生支援機構が憲法26条の教育の機会均等の理念の下で運営しています。2016年度の利用者は131万人で、大学・短大生では2.6人に1人の割合です。貸与額は約1兆円にも達しています。成績と収入の要件があり、1人あたりの平均額は、無利子(50万人)が237万円、要件の緩やかな有利子(81万人)が343万円です。給付型奨学金は2017年度から始まり、新年度以降毎年2万人規模になります。
家計が苦しいために借りた奨学金が、結果的に親子の共倒れを招いています。この30年間で、国立大学の授業料は2.13倍の約54万円、私立大学は1.76倍の約88万円に上がっています。一方で平均給与は大きく上がっていません。卒業後も非正規雇用などで収入が安定せず、返還に苦しむ人が後を絶ちません。経済環境の変化と回収を強めたことにより、高学歴・高収入の終身雇用を前提とした奨学金のモデルにひずみが出てきています。

 

(2018年2月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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