地方における保育の場が消える

2020年の出生数は、全国で84万832人です。2017年の国立社会保障・人口問題研究所の将来人口の推計によれば、2043年には69.5万人と70万人台を割り、減少傾向は止まらないと見込まれています。実際の少子化は、この推計を超えるスピードで進んでいます。
少子化が進んだ地方では、認定こども園などが定員割れを起こし、閉園目前の事態へと追い込まれています。厚生労働省は、人口減が進む地域の保育所のあり方を議論する検討会を設けています。これまでの国の保育政策が、都市部を中心とする待機児童問題への対応を主軸としていました。今後は、人口減少地域の社会インフラとして、どう維持するか、政策の柱に位置づける必要があると思われます。
子育てを地域で支えきれなくなるところが今後続出します。医療と介護の分野も同様です。国も自治体も具体的な戦略を早急に検討する必要があります。加えて明日を担う人材をどう育み、人口をどう反転させるのか、こども家庭庁を少子化対策の司令塔としても機能させることが大切です。

(2022年2月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。