地方に学ぶ

 2015年の人口動態統計で出生率が1.462年ぶりに上昇に転じました。しかし安倍政権が打ち出す希望出生率1.8にはなお開きがあります。特に地方が生き残っていくために最重要課題は出生率の向上です。岡山県奈義町では、2005年に1.41だった合計特殊出生率が、2014年には2.81となりました。このままだと町が消滅するという危機感から、「子育てするなら奈義町で」というキャッチフレーズを掲げ、様々な子育て施策を実行されています。それまで子育て関連のお金は予算全体の2%でしたが、2016年は12,600円と、町の予算の3%強になりました。
 奈義町が進めた施策は第一子に10万円、第二子に15万円、第三子に20万円など支給する出産祝い金、不妊治療助成、乳幼児及び児童生徒医療費助成、保育料多子軽減などです。医療費の無償化は、まず小学生から始め、高校生までに拡大しました。無償になる治療の対象もまずは入院、そして通院と、段階的に範囲を広げています。職員採用にも、新しい21世紀型職員採用試験を導入しています。教育面でも、幼稚園から中学校までの連携教育やアクティブラーニングなどに着手しています。子どもが生まれる前から大学を卒業するまで、切れ目のない支援をしています。こうした地方の子育て支援策を学ぶことも大切です。

(2017念1月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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