地方議会の空洞化

地方議会の空洞化が止まりません。審議を担う議員のなり手不足は深刻になる一方です。4年ごとの統一地方選挙で議員が無投票で決まる割合は右肩上がりです。2023年は、改選定数1万4,844人の14%(2,080人)に達しています。財政難や人口減少で定数は減っています。



地方自治は、首長、議員それぞれを有権者が直接選ぶ二元代表制で成り立っています。とりわけ議員は地域に住んでいることが要件で、多様な住民の声を取り込む役割を担っています。議会の力が弱まれば、首長のブレーキが効きにくくなってしまいます。首長が議会ぬきで補正予算などを決める、専決処分の多発も目につくようになってきています。
2012年に改正した地方自治法は、専決処分を議会が事後的に承認しない場合、首長が必要な措置をとって議会に報告するよう定めています。副知事や副市長村長の選任は、専決できないようにしています。2010~2012年に市町村合計で年平均1万件を超えていましたが、2013年以降は、8千件から9千件台半ばに落ち着いています。コロナ禍で、近年首長の専決処分が再び増えてきています。

議会の機能強化のためには、通年制の導入が必要です。予算編成などの時期だけ定例会を開くのと異なり、首長の招集を待たずに必要な議案を随時、議論できます。通年制などの導入例は、全国で100を超えて徐々に増えています。

(2024年2月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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