がん治療と仕事との両立

日本人の約2人に1人ががんに罹患します。国立がん研究センターの統計によれば、年間約100万人が新たにがんと診断され、このうち2割強が20~64歳の就労世代です。治療と仕事の両立支援のしくみを整える企業が増え、治療を経て自身のめざすキャリアを模索し続ける人が増えてきています。
医療技術の進歩で、日常生活を送りながら治療を受ける患者が増え、仕事との両立を望む声は高まっています。外来化学療法を受けているがん患者は、2週間に一度程度の通院が必要となります。しかし、現在の日本社会は、働き続けられる環境と思わない人が半数近くを占めています。全国でがんと診断された人の3割が依願退職しています。
企業としては、復職に向けて、産業医や保健師、看護師が病院の主治医と連携するための制度設計が必要になります。働ける状態か、職場でどんな配慮が必要かなどを検討し、両立支援プランを作成し、体調や通院に合わせて、短時間勤務や有給休暇などを活用してもらうことが大切です。企業にとっても、労働力の確保や、高齢社員の増加に対応するためにも、両立支援制度を整備する必要性があります。

(2024年2月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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