大動脈瘤の予防

 腹部にできた大動脈瘤は、血管壁で脂肪細胞が増えると破裂しやすくなることが明らかになりました。腹部の大動脈がこぶ状に大きくなると破裂し死亡することがありますが、これまでこの大動脈瘤の破裂に至るメカニズムはよく分かっていませんでした。自覚症状がほとんどなく、偶然見つかることも多く、大きさによっては手術が必要になります。
 大動脈瘤を人工的に起こしたラットを調べたところ、血管壁に脂肪細胞が出現していました。中性脂肪を投与すると、脂肪細胞が増加し、破裂リスクが3倍に上昇しました。一方、動物実験で、エイコサペンタエン酸(EPA)を豊富に含む魚油を与えると破裂リスクが低下することも明らかになりました。治療薬の開発や破裂の予防に役立つ可能性があります。患者の血管壁を体外で観察すると、脂肪細胞が多いほど大動脈瘤が大きいことも分かっています。

(2016年8月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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