奨学金の受給

 文部科学省によると、日本学生支援機構や自治体など全ての制度の受給者は、2013年度で177万人に達しています。奨学金の利用者は増加傾向にあり、昼間学部の大学生だと2006年の約4割から近年は5割を超しています。一方で、遅延額は増えています。日本学生支援機構の場合、3カ月以上の延滞者は2015年度末で165千人です。2009年度末の211千人をピークに減っていますが、全遅延額は880億円あり、2015年度までの10年間で1.6倍に達しています。
 大学4年間、原則上限の月額12万円を借りると、計576万円にもなります。20年間返済で利息を加えると、総額は約600万円に達します。労働環境の変化で返済が厳しくなっています。非正規社員が4割を超え、平均年収は1997年をピークに下落しています。社会状況は大きく変わり、そのひずみが奨学金の滞納に示されています。給付型を拡充したり、所得に応じた支払いを有利子の第二種にも広げたりするべきです。

(2017年5月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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