女子とは何か

 日本女子大学が、性的マイノリティ-の学生を受け入れるかどうかの検討を新年度から始めることにしています。男性に生まれたが、女性として生きるトランスジェンダーの学生が、女子大で学べる可能性が出てきました。米国では、複数の女子大がすでに受け入れを表明しています。日本女子大が検討を始めることについて、トランスジェンダーの当事者から歓迎の声がある一方、受け入れ態勢の整備を求める意見が上がっています。日本最古の女子大学である日本女子大学が議論を始めることで、他の女子大に影響を与える可能性もあります。
 多様な学生を受け入れるべきという積極論がある一方で、学生や生徒、保護者、教員の理解が浸透しているとはいえないなどの慎重論もあります。国立のお茶の水女子大学では、これまで男性として生まれたトランスジェンダーの女性から受験の問い合わせがあったことはありますが、その際、戸籍が女子なら出願資格があると答えているそうです。性同一性障害特例法では、性同一性障害の人は戸籍上の性別を変更することはできます。しかし、20歳以上、生殖腺がないか、生殖機能を欠いているといった要件を満たす必要があり、20歳まで待ったり、手術を受けたりする必要があります。
 これまで体の性別を前提に入学を許可してきた女子大学ですが、性的マイノリティ-を受け入れられるかどうかは、女子大の価値や存在意義を判断する上で極めて重要な検討課題です。抑圧されてきた女性に対し、教育の平等な機会を与えるという建学精神からすれば、女子大学とは何かを考える良い機会です。

(2017年3月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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