女性の就業率を上昇させるために

 かつて日本では、結婚や出産でいったん仕事を辞める女性が大半でした。1992年に育児休業法(現在の育児・介護休業法)が施行され、法改正で短時間勤務制度も義務付けられるなど、長く働き続けるための制度が整えられてきました。女性が仕事と子育てを両立させ、キャリアアップもしながら働き続けるには、様々なハードルがあります。夫の育休取得率は2.3%であり、未就学児童を持つ父親の育児・家事時間は167分であり、海外に比べて極めて短くなっています。負担は女性に偏っています。そのため、子育て・育児が始まる30代では女性の就業率は低いままです。
 今年4月施行の女性活躍推進法で、従業員301人以上の企業は、管理職や採用での女性比率の数値目標などの行動計画づくりが義務づけられました。少子高齢化の中、政府は女性が働き手として活躍できる環境を整え、経済を成長させることを目標としています。管理職の意識改革と、働き方自体の改革に向き合えない企業では、女性の活躍は進みません。育児による退職を防ぐと同時に、仕事と私生活の責任を果たすことが可能な職場環境の実現が企業に求められています。

(2016年5月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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