女性の工学進学

新産業創出やイノベーションには多様な視点や発想が欠かせません。一つのカギが女性の理工系人材の育成と活用です。日本で大学の工学系学部に進む女性は少ないのですが、山形県は2割を超しています。技術者や研究者の厚みが増せば、地域産業の振興にもつながるため、各地で女性の進学を後押しする動きが強まっています。
4年制大学の工学系学部に進んだ高校生らのうち、女性比率が最も高かった都道府県は山形県で20.2%です。東京都が19.3%、岩手県が17.9%、熊本県が17.6%で続いています。全体では15.2%でした。山形県でのけん引役は山形大学です。女性の教員や大学院生を組織し、県内の中学・高校で出前講義や進路相談を実施しています。
理系は女性に不向きといった思い込みや偏見も、進路選択を狭めてきています。工学部入試での女子枠は、2023年度に設けた名古屋大学など導入が相次いでいます。工学は生活に密着しており、女性の視点が不可欠です。工学系女性が社会で活躍していくサイクルをつくる一つのきっかけとして、女子枠は有効となるでしょう。

(2023年6月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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