女性の正規雇用

 大卒の未婚女性の正規雇用率は、70%前後を占めており、変化が認められません。しかし、未婚期でも非正規雇用でしか就けない女性が、高卒層、短大・専門学校卒層に拡大しています。しかもこの層の結婚・出産が遅滞しています。高卒・未婚女性は、2002年時点でも57%しか正社員に就業できていませんでしたが、2015年になると41%に低下しています。短大・専門学校卒・未婚女性でも、2002年の71%から2015年には62%に低下しています。
 第1子出産後の女性正社員の就業継続率が、2010年以降、年々上昇しています。特に大卒女性で顕著です。第1子が03歳の大卒女性(2544歳、有配偶)の正社員比率は、2002年の26%から2010年には34%、2015年には44%にまで上昇しています。大卒女性層を中心に、正社員としての就業を継続をしつつ出産するパターンが拡大しています。しかし、この層がなかなか第2子出産まで進んでいません。第2子出産に対して影響を与えるのが、夫の家事育児時間です。夫が育児分担をすれば母親の就業が出産を抑制するマイナスの影響は緩和されます。つまり政策により正社員就業女性が第1子を持つようになったとはいえ、第2子にまで進めない層が増えており、大卒層でも出産数は停滞しています。単に短時間勤務制度と保育園供給が進んだとしても、就業女性の出産問題は解決されません。

(2017年7月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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