女性特有のがん患者の増加

女性特有のがんとは、女性特有の臓器である、子宮や卵巣、乳房などに発生するがんです。子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、乳がんなどが挙げられます。特に乳がん、子宮頸がんは、国内で患者数、死亡者数が増加傾向にあります。女性が生涯に罹患する確率として、乳がんは9人に1人ぐらい、子宮頸がんで70数人に1人くらいと言われており、年間でそれぞれ約1万5千人、約2,900人の方々が亡くなっています。AYA世代(15~39歳)や40歳代などの比較的若い世代に患者が多いことも特徴です。

乳がんの原因は、一部には遺伝的なものもありますが、多くはホルモンの影響や喫煙、高脂肪食などの生活習慣、また肥満や糖尿病などの因子が影響しています。
子宮頸がんは、性交渉によるHPVというウイルスの感染によるものがほとんどです。そのため小学校6年生~高校1年生相当の女子を対象としたHPVワクチンの定期接種により、罹患リスクがかなり低減できます。しかし、接種の積極的勧奨が2013年から停止していたこともあり、現在リスクは増大しています。2021年11月から勧奨が再開されましたが、欧米などと比べると接種率は著しく低いままです。今年4月からは、より予防効果の高い9価のワクチンが導入される予定です。勧奨停止期間に対象年齢が過ぎた女性も含め、無料で接種できます。
乳がん、子宮頸がんは、胃がんや大腸がん、肺がんなどと同様に市町村単位でがん検診が実施されており、乳がん検診は40歳以上、子宮頸がん検診は20歳以上で、2年に一度の検診が推奨されています。欧米ではこれらの受診率は高い国だと9割を超えていますが、日本では5割に届いていないのが実情です。

(2023年2月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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