女性研究者を増やすためには

日本の女性研究者の割合は15.7%であり、主要国最低レベルです。リーダーも少なく、国立大学では86法人中、女性学長は4人しかいません。政策などでは、理系の女子学生をまず増やそうとしていますが、教授や管理職に女性がどんどん上がっていかないと、根本的な解決につながりません。理系の分野においては、助教、准教授、教授と昇進するにつれて女性の割合はさらに減っていきます。米国でも、リークパイプ(水漏れする管)と例えられています。

単身赴任や育児、親の介護などで、多くの女性研究者が研究現場を離れていく現実があります。保育園からの急な呼び出しで仕事を続けられない状況も多くみられます。研究機関に所属する男女を対象にした文部科学省の2018年調査では、女性研究者の数や活躍するための環境改善については不十分との評価が大半でした。その理由としては、ライフステージを考慮した環境ではない、土日・祝日の出勤が非常に多く、子どもがいる人には困難な環境などが挙がっています。
米国では、医療保険制度の整備が日本よりずっと遅れていて、産休も育休もほとんどありません。しかし、お互いに融通し合って助け合う社会の雰囲気があります。職場に子どもを同伴しても良いような環境づくりも大切です。スウェーデンでは、子育てに積極的な男性が多く、男性の育児休業の取得率も高くなっています。子育てが仕事に不利にならない状況をつくり出すことが望まれます。いろいろな研究者としてのアイディアも子育てから生まれます。

(2019年5月9日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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