妊娠と薬

 妊婦や妊娠を考えている夫婦が、持病などの薬の服用について相談できる専門外来が開設されるようになってきています。医薬品によっては妊娠中は服用を控えるなどと注意書きされていることが多く、妊婦は使用を続けていいのかどうか悩みます。2005年には厚生労働省の事業で、国立成育医療研究センターが妊娠と薬情報センターを開設しました。米国などの投与実績をもとに、301万円で医師と薬剤師が面談で助言しています。情報提供など同センターの協力を受け、大学病院などが妊娠と薬外来を相次ぎ開設しています。約40の医療機関に広がり、来年度には全都道府県に1カ所は同外来がある体制が整う見通しです。
 添付文書に妊婦や妊娠の可能性のある人には投与しない、有益性が危険性を上回る場合にのみ投与する、などと記載された医薬品は多くなっています。妊娠の時期によって注意すべき薬はあります。日本産科婦人科学会の妊娠と薬に関するガイドラインなどによると、妊娠4~7週末は胎児の心臓や手足が形成される時期で、医薬品の影響が比較的出やすくなります。血栓症を防ぐ薬や皮膚病の乾癬治療薬によって、胎児に異常が出ることが確認されています。

(2016年6月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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