子宮移植を考える―Ⅸ

子宮移植にあたっての留意点―①
 子宮移植に際しては、子宮提供に係わる意思の自発性が担保されるべきです。そのためには、子宮提供の手術の方法、その意義、起こりうる合併症などその危険性などその危険性などが十分に説明され、それらを十分に理解したうえでの提供でなければなりません。子宮移植の場合、母親や姉妹などの親族間で実施されることが多く、心身共に健康であることは当然のことですが、精神的および心理社会的負担に十分配慮することが大切となります。
 子宮移植においては、ドナーの手術に対する安全性の確保が大前提となります。ドナーの子宮摘出にあたっては、長時間を要するのみならず、技術困難性もあることにより、全身麻酔、臓器摘出手術に耐えうるか否かを評価するために、適応の決定にはドナー候補者の綿密な全身評価が行われなければなりません。ドナーの術前の検査、手術費用、入院費を含む一切の費用に対しては、健康保険でカバーされないため、その診療報酬費用や受診に必要な交通費、休業補償などの負担が生じます。臓器提供に起因する合併症およびその治療に対しても補償が必要となります。

(吉村 やすのり)

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